30分の待ち時間








「ねぇ鈴。
さっき、私が先輩に告白したのを聞いたって言ったよね。

それってどこまで聞いたの?」


「……好きですって言っている時点で、気が付いたら逃げてた」


「じゃあその後は聞いていないんだね?」


「うん」




あの場所にいたくなかったから…。




「実はあの後私ね、1回フラれたんだよ」


「フラれっ……!?」




海先輩が、葉月をフッた!?

学年1可愛い葉月からの告白を断った!?

男子なら誰しもが彼女にしたい女子1位の葉月を!?




「……1回フラれた?」


「うん。
1回はごめんって言われた。
だけどオッケーしてくれた」


「……え?」




どういうこと?




「先輩には好きな人がいるんだって。
だけどその子は自分を全く気にしていないから、きっと他に好きな男子がいるんだと思って諦めていたんだって。

そんな時私が告白してきて。

その子を諦めて、私を好きになるよう努力してみるから、付き合ってくれないかって、1回その海先輩の話を聞いて、言われたの。

だから私はまだ、海先輩が好きな子に勝てていないの」




海先輩に好きな人がいたなんて。

無口なのもあるんだろうけど、全くそんな話聞いたことなかったな。








< 56 / 69 >

この作品をシェア

pagetop