30分の待ち時間
「海先輩に好きな人なんていたんだ…」
「うん」
クスッと葉月は、イタズラっ子のように笑った。
「海先輩が成績が下がって落ち込んでいた時に、その子が落としたストラップを拾ったんだって。
その時見せてくれた“ありがとう”って笑顔に、先輩の落ち込みなんて吹っ飛んでいったんだって」
「へー、そうなんだぁ~。……え?」
落としたストラップを拾った…?
…気のせい?
あたしが海先輩を好きになった瞬間は、海先輩があたしの落としたケイタイストラップを拾ってくれたから…。
たまたま、かな?
「海先輩、嬉しかったみたいだよ。
その好きな子が、マネージャーになってくれて」
「……え?」
マネージャーはあたしと葉月だけ。
海先輩の好きな子が葉月じゃないってことは…。
「海先輩の好きな子の名前は、守屋鈴…だって」
「……ッ!?」
衝撃すぎる、事実だった。