30分の待ち時間







「だから鈴がもし告白していたのなら、海先輩はオッケーしていたんだよ」



だけど今は、海先輩は葉月の彼氏。

海先輩は、葉月を好きになるよう努力するって言っていた。



「恋するのに、時間なんてないよね~」



葉月が言った言葉に、あたしはハッとした。





恋するのに、時間なんてない。

例えそれが1分でも、30分でも。




あたしは、知っている。

彼に対して思った気持ちを。

だってそれは、かつて海先輩が好きだった頃持っていた気持ちだから。

その答えは簡単に出ている。

数学よりも、どの教科よりも簡単に。





「…す、鈴!?
どうして鈴泣いているの!?」


「は、葉月~……」




馬鹿だ。

今更気がついてしまうなんて。




「葉月…あたし…あたし……」


「どうした?」







「太一が好きっ……!」







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