30分の待ち時間
「はああぁぁぁああ……」
あたしは思い切り溜息をついた。
「溜息ついたら幸せ逃げるよ」
「それはそうなんだけど、溜息つきたくなるのが現実ってものじゃない?
そもそもそんなので幸せ逃げていたら、あたしに幸せなんて存在していないし?
……って、は!?」
あたし誰に話しかけているの!?
「誰?誰?誰なの!?
もしかして、もしかしなくても…ちっちゃいおっちゃん!?」
噂には聞いたことある、ちっちゃいおっちゃん。
霊感がある人とか、運が良い人に見えたり、声が聞こえたりするって言う、学校の七不思議みたいな噂。
まぁ学校じゃないんだけど。世間なんだけど。
「違う」
「え?
やっぱり声聞こえる…。
しかも否定された?
じゃあ誰?
もしかして、宇宙人!?」
「違うって。
こっち見てみろ」
「こっちってどっち?」
「ベンチ」
……ベンチ?
あたしは左を見た。