30分の待ち時間






噂には聞いたことある。



あたしたちが現在通う高校と、近くの高校が生徒数が少なくなったとか言う問題で合併したって。

だけど向こうの高校とは授業も校舎も違くて。

渡り廊下で繋がってはいるけど、それぞれ自分たちが通う高校の校舎内にはいっている移動教室を使うから、関わりは皆無に等しい。




「そのネクタイ、誰から貰ったんですか?」


「サッカー部の卒業した先輩から。
サッカー部の奴らは全員受け取るよう伝統みたいなのがあるからね」


「卒業した先輩……」


「もしかしたら知っているかな?
かなり有名なプレーヤーだったから。

光出雷一先輩っていうんだけど」


「光出雷一!?」




太一のお兄さんの名前っ……!




「海先輩!
光出太一って知っていますか?

光出雷一さんの弟さんなんですけど!」


「知っているけど?」




葉月によって出来た一筋の光が、大きくなった気がしたその時。




「うみせんぱーいっ!」





真夏の太陽みたいな笑顔を浮かべた1人の男子生徒が、走って来た。









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