30分の待ち時間
30分とみかん
☆☆☆
「おばーさーんっ!」
その日の放課後。
あたしは再び、あの駅へとやってきた。
前と同様、次の電車が来るのは30分後。
だけど今日は、憂鬱だとは思わない。
むしろあたしは、30分に感謝している。
「……ん?
この間の子たちじゃないか」
「お久しぶりですおばあさん!」
「お久しぶりです」
「やっぱり駆け落ちかい?」
「駆け落ちじゃないですけど、めでたく恋人同士になっちゃいました!エヘヘ」
「あっついねー」
「そうですね、夏ですもん」
「そういう意味じゃないんだけど。
…まぁ良いや
みかん食うかい?」
「「喜んでっ!」」
「相変わらず元気だのぉ。
じゃ、持ってくるから待ってなさい」
あたしたちは再び縁側に座った。