好きで、言えなくて。でも、好きで。
「からかってなどいない。俺は本気だ。だから」


「寝言なら寝てから言って下さい!いくら管理官でも、そんな命令には従えませんからっ!」



「……!おい、待て。吹蜂!」



必死で否定する棟郷の言葉を遮って威叉奈は声を荒げ、これ以上話すことはないとばかりに出入口に向かう。


しかし、棟郷は威叉奈の腕を掴んでそれを阻止した。



「離して下さい!管理官の冗談には付き合ってられませんから!」


「だから、冗談では……」



「冗談じゃなかったら、なんなんですか?!嫌がらせですか?!私のことが嫌いなら嫌いって、言ってくれていいですから。極力視界に入らないようにしますから…!」



「だから、違うんだ!」



「…っつ……!!」



切羽つまったように、今までにない強い口調で棟郷は否定した。


掴んでいる腕を引き、後ろから思わず抱き締めるほどに。



「は、離し、て、下さい………」



ついさっきまでの勢いはどこへやら。


弱く消え入りそうな声で言いながら、棟郷から逃れようと威叉奈はもがく。
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