好きで、言えなくて。でも、好きで。
「よ!」



「調子はどうだ?」




「怪我してんじゃねーか。見せてみろ。」



「これが嫁の料理だ。美味いぞ。」


「今の中学生はどんな勉強してんだよ?」




「今日、ガサ入れしたんだ。ああ、ガサ入れつーのはな…」


「子供って可愛いよな。俺らには出来なかったからさ、余計になぁ。」



「寒くねぇか?カイロあるぞ?」


「暑いだろ?ほれ、アイス。」



「課長が煩くってよー」



「警察って、派手なイメージあるがよ、結構デスクワークなんだぜ?」





「苗込と喧嘩しちまったーどうしよう…」


「俺の同期にさ、棟郷っていうのがいるんだけど、そいつが頭でっかちでな。」



賭狗膳は時間を見付けては、威叉奈を探して話し掛け続けていた。


最初は暴言を吐いてすぐに立ち去っていた威叉奈だったが、諦めたのか呆れたのか、段々暴言の数も減り、いつしか賭狗膳が話を切り上げるまでそこにいるようになった。


暴言代わりに、無言ではあったが。



賭狗膳そんな威叉奈の態度が嬉しく、また楽しかった。



出会ってから1年。


そんな生活が続いていた。
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