好きで、言えなくて。でも、好きで。
「よう。久しぶりだな。」


「何でお前がここにいる?」



威叉奈の家であるマンションの前には、ニヤリと笑う椒鰲がいた。



「電話切っちまうからよ、来たんじゃねぇか。」


「何で知ってんだ。どこで調べた?」


「んなことどうでもいいだろ。それより飯まだか?食いに行こうぜ。」



10年ぶりに現れた椒鰲は、見た目は歳を取ったようだが、雰囲気はあの時のまま。


威叉奈が駁兜を抜けてからも、椒鰲は連れ戻そうと会いに来た。

しかし、威叉奈が警察学校に入校して以来会ってはいない。



その椒鰲が自分の自宅を何故知っているのかと、威叉奈は警戒した。



しかし、椒鰲の示した行き先が人のいるファミレスだった為、食べ損ねていた遅い夜ご飯を食べについていくことにした。



「あ~食った食った!」


「だから、何でついてくんだ?さっさと帰れ。」



ファミレスを出た後も、威叉奈の後ろをついてくる椒鰲。


話があると言っていたにも関わらず、食事中特に話はしなかった。


椒鰲の目的は分からないが、威叉奈には用がない。
< 38 / 92 >

この作品をシェア

pagetop