好きで、言えなくて。でも、好きで。
「ファミレスから後は……、裏路地に入ってしまいましたね。この辺には監視カメラはありません。」


「近道なんだよ。大通りは混み合ってるから…」



通るな、と言ったことはない。

キャッチや仕事が仕事だけに絡まれる心配のない裏路地の方が、何かと都合がいいからだ。



しかし、こういう危険が潜んでいたことを、見落としていたなんて今更気付くとは。



「威叉奈のマンション、住宅街だから、外に向けてのはないだろうな。」


「ええ…。エントランスなどはありましたが、写す範囲は出入口付近で、道路までは…。」



「あっ!」



見つけた手掛かりがすぐに意味をなさないものに変わって落ち込んでいた時、裏路地の入口を写したカメラ映像を見ていた早乙女が声をあげる。



「どうした?」


「今のところ戻して下さい!バイクが出てきました。2人乗りで。」


「なに?!」



威叉奈と椒鰲が入っていった裏路地から、大型のバイクが出てきた。



「画像が不鮮明過ぎるな。」



その上ヘルメットをしていて、服装だけでは判別出来ない。
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