好きで、言えなくて。でも、好きで。
「っ………!ど、こだ……。」



睡眠薬を飲まされ気を失った威叉奈が目を覚また場所は、寂れたロッジのようだ。



見回すと、何年も人の出入りがないようで、空気は埃っぽかった。

割れた窓からは、うっそうと茂る木々が見える。


陽の光が差し込んでいるので、拉致されてから少なくとも数時間は経っていると威叉奈は考えた。



「起きたか。」


「椒鰲………!」



人の気配と声に目線を向けると、椒鰲がいた。



「いい格好だな。」



見下ろす威叉奈は、縄で手は後ろに、足も縛られ、横に倒れている状態だ。



「な、にが…目的だ?」



椒鰲が盛った薬の量が多すぎたのか、まだ効いているようで、視界と意識が少しぐらつく。



「…………………。」


「答え、ろ…!復讐か?俺が族と、縁を、切ったからか?けど、裏…切った訳じゃねぇこ、とぐらい…理解出来てんだろ?総長だって、納得したんだ。情報、流さねぇならって。」



総長の決断には従う。


それが族のルールだ。



「つか、お前、あの後、総長になったんだろ?総長になりたかったからだろ?」



俺をリンチした理由は―――。
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