好きで、言えなくて。でも、好きで。
「飯。食べろ。」



威叉奈の言葉に一瞬反応したが無言を貫き、椒鰲が持ってきたのはコンビニのお弁当だった。



「い、らね…。」



ファミレスでのことがある為、威叉奈は拒否した。



「食え。」


「い、らねぇ、って………ぐっ、ゲホッゲホッ…」



後ろ手に縛った為、威叉奈自身では食べれない。


なので、椒鰲はご飯を口に持っていくが拒否され、それが気に食わなかったのか威叉奈の口を無理矢理開けてねじ込んだ。



そして案の定、威叉奈は咳き込んでしまった。



「ゲホッ……お前、一体、何を…」



威叉奈の言葉を無視し、椒鰲は威叉奈の口にねじ込み続けた。



拒否しても咳き込むだけなので、仕方なく威叉奈は食べた。


だが、思った通り薬が入っていたのか食べ終わる頃には再び意識が遠退いていった。




それが数回気まぐれに繰り返され、威叉奈にはもうあれから何日経過したか分からなくなっている。


薬の量が範囲を超えているのか、目覚めても体勢を変えるのがやっとだ。





椒鰲は何を問い掛けても黙りで、威叉奈は椒鰲の行動の意味を計りかねていた。
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