好きで、言えなくて。でも、好きで。
「監視カメラがねぇのは、ここからだな。」



警視庁から数時間、監視カメラで追えるギリギリまで3人は来た。



車を降りた賭狗膳が見渡す景色は、山や森、田んぼが広がっていて、とても東京とは思えなかった。



「ああ。別荘地に行く道はいくつかある。しかし、バイクで通れる道は限られる。早乙女、何本ある?」



棟郷の運転する車中で、賭狗膳と早乙女は手分けして別荘地周辺を調べていた。



「えぇっと…、3本です!南に向かうこの正面と、西と東ですね。」



「じゃ、俺は正面行くわ!」


「おい、賭狗膳!……はぁ、捜査じゃなくても勝手だな。あいつは。」


「すみません……。」



「早乙女が謝ることじゃない。早乙女は西を捜してくれ。」


「分かりました。」



勝手に行ってしまった賭狗膳は、主要な道である南。


早乙女は、車道と共に歩道も整備されている西。


棟郷は、山登りも兼ねた車道さえほとんど整備がされていない東。



手分けして、威叉奈の捜索を開始した。
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