好きで、言えなくて。でも、好きで。
棟郷の疑問は最もだと、賭狗膳は溜め息をつく。



「威叉奈が警察学校に入って、姿が見えなくなっても、探し続けていたんだとよ。」



家を引き払い、突然姿を消した威叉奈。

しかし、探す術をその時の椒鰲は持っていなかった。



「それが、ネットが普及して、しかも総長になったことで悪い人脈が広がり、この間、闇ルートで電話番号とか家の住所とか手に入れたらしい。今そっちも探ってる。」



匿名性の高いネットの情報に、警察も助けられることがある。


しかし、圧倒的にこういう悪い方向の方が多い。


個人情報を探すことなど、使い方を知ってしまえば造作もないことだ。



そういうのは専門だと、賭狗膳は言う。



「監禁して、俺から離せば元の威叉奈に戻ると思っただと。胸くそ悪ぃ、短絡的なガキの発想だ。」



そんなことで戻るほど、威叉奈の意思は弱くはない。



「しかも、あいつ、薬盛った挙げ句に、威叉奈を傷付けやがって!ぜってぇ許さねぇ。」



しかも、ナイフとか完全殺すつもりだっただろうが。



などと、思い出したようで賭狗膳は怒りが治まらない。
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