好きで、言えなくて。でも、好きで。
一緒に仕事をしている仲間でさえ、仕事のことは信じられても、人物に関してはいまだに信じることが曖昧だ。

一課に対してもそう。



だから、棟郷の言うことがどうしても信じられずに悪態を繰り返してしまったのだ。



けれど、期待してしまっていたのは自分も同じだと威叉奈は思う。



好きと言われて、

抱き締められて、

助けに来てくれて、

守ってくれて、

心配してくれて、



凄く嬉しかった。



だけど、言えなかった。

信じたかったけど、本当にそうなのかと疑念がつきまとった。


でも、さっき切なげに言われたことは何故か信じることが出来て。


棟郷もきっと自分と同じで不安なのだろうか。と思ったら納得出来て。



それで、信じることが出来たまでは良かったのだが……



「(一体、どんな顔して、どんな態度でいりゃあいいんだよ……!?)」



酔っ払って記憶が無くても、棟郷の言う通りなら…

散々憎まれ口を叩いてきたのに、好きだと泣きじゃくって…


今更になって、自分のしてきたことに恥ずかしくなってしまったのだ。
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