好きで、言えなくて。でも、好きで。
「俺はロボットか何かか……」


「ロボットより酷いですよ。会議の時なんて、終始こーんな顔してたし。」



威叉奈はこれでもかというぐらい、ムスッとした表情をする。



「そんな顔はしていない。」


「しーてーまーす。」



即否定する威叉奈。



話ながら、棟郷は一つ気付く。


威叉奈の話す言葉が柔らかくなり、少しくだけていることに。



もしかしたら。



「吹蜂、無理してないか?」


「だから、無理なんか」



「あ…そうではない。言葉の方だ。」


「言葉?」


「さっきから、かなり言葉がくだけてきている。普段、敬語は使わないだろ?賭狗膳や細脇といる時も、秩浦椒鰲を止めようとした時も、そうだったしな。」



確かに、普段はかなり言葉遣いが悪い。


しかし。



「そりゃそうですけど。でも、社会人として言葉遣いぐらい直せって、トクさんもナエちゃんも言うから。」



初めは意識していても駄目だったが段々出来てきて、今ではほとんど意識しなくてもある程度の敬語は使えるようになった。
< 81 / 92 >

この作品をシェア

pagetop