好きで、言えなくて。でも、好きで。
すれ違ってもメビウス
「あ゛ぁ~半年間の減給かよ~ちっくしょー、少ねぇ給料が更に少なくなったじゃねぇか。」


「減給で済んで良かったじゃないですか。最悪、解雇ですよ。」



刑事部長に呼び出された帰り、悪態を付く賭狗膳に早乙女は慰めるが、きっとフォローにはなっていない。


「それに、棟郷管理官は減給の上に謹慎ですよ。」


「入院期間だけだろ。つかよ、俺だってお前と同じく連れ出されたのに、なんでお前はお咎め無しなんだ!」



私に言われても…。と憤る賭狗膳に早乙女は思う。



早乙女の処分が無かったのは、課長の賭狗膳の付き添いみたいなもの、という進言のお陰。



賭狗膳は不服みたいだが、犯人逮捕とその経緯の為に、この処分はかなり甘い方。


因みに、威叉奈には早乙女と同じく処分は無かった。

監禁されていただけで、完全なる被害者なのだから当然といえば当然なのだが。



「お疲れー…って、あれ?威叉奈は?先に戻ってるはずなんだけど?」



悪態をつきまくっていた賭狗膳とは違い、迷惑をかけたと珍しく謝る威叉奈に刑事部長は、威叉奈だけあっさり帰したのだ。


しかし、賭狗膳が部屋を見回すがいない。
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