モモとウメと君と
しばらく愛目ちゃんは、橘くんの胸に体をあずけて泣いていた。
場所も変えて、愛目ちゃんが落ち着くと、それを待っていたかのように橘くんは顔を上げた。
「愛目……今日はもう帰って。元彼と別れたくて、俺を利用するのはちょっと気分悪いよ。それに…………」
橘くんがちらっと私を見て、続けた。
「それに、立花さんまで巻き込むなんて、思わなかった」
「…………っ」
愛目ちゃんは勘付かれたように目を泳がす。
……どういうこと?
愛目ちゃんに、元彼って……
もしかして、さっきの男の人たち、元彼の仲間だったのかな!?
「あ、立花さん、俺が何言ってるかわかんないよね。詳しくは話せないけど……巻き込んで悪かった」
「い、いえいえ!久しぶりに回し蹴りできたし、初めてこの得意技が役に立てて良かったよ!あはは〜……」
無理に笑ってみせたけど、橘くんの表情は悲しげなままだった。