青い春の真ん中で
生温い風。


有輝の彼女じゃなくなった私は、もうどこにも居場所がなくなってしまった。


海沿いの道、カーブミラーの立つ角、駄菓子屋さんの前の自動販売機。

あちこちに有輝との思い出が残り過ぎてる。


瞬きを我慢しながら歩くけど、視界が歪んで前がよく見えない。


瞳を閉じてしまったら、涙がこぼれてしまった。

夜風が優しく髪をなでていく。


コンビニなんか行くつもりもなかった。


家から5分ほど歩くと見慣れた景色。

防波堤が海の真ん中へと続いている。


この防波堤をとぼとぼ歩くと、ここにもまた有輝との思い出があふれていた。


防波堤の上、座る私の膝の上にふざけて有輝が寝転がった。

くすぐったいと逃げた私が…今は憎い。


不器用な私は、同じ年頃のカップルみたいに甘えて寄り添ったりイチャイチャできなくて…

有輝がふざけて戯れるたびにドキドキして体が熱くなって真っ赤になるのがまた恥ずかしくて。


照れ隠しで素っ気なくしてた。




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