青い春の真ん中で
「晴翔もちょっと元気なかったよね…」

真紗希が言うと、


「うん、うわの空みたいで」

と、沙由奈が頷いた。


「何があったのか教えて、歩成ちゃん。私達は、歩成ちゃんの味方だよ?」


芽衣は座り込んで私の顔をのぞき込む。


自分の話を、気持ちを話すことは得意じゃない。
否定されたら…
笑われたら…

根っこの部分は、とても弱くて傷つかないように生きてきた。

だけど、話がしたいって、聞いて欲しいって思う、今…

大きく深呼吸をした。

「私は、瀬戸くんのことが気になってて。でも、こんなに自分が自分じゃないみたいになるのが初めてで。有輝の時にはなかった気持ちで…」


顔を上げるとみんなの真剣な眼差しとぶつかった。

やだな…泣いちゃいそうだ。


「最近は、瀬戸くんの行動ひとつでその日がすごく楽しかったりつまらなかったり。瀬戸くんでいっぱいになっていく自分の心がもう自分には手に負えなくなって・・・」


上手く説明できないな。

どこからどう話せばいいの・・・

話が止まってしまった。


「いいよ、ちゃんと聞くから。話して」


そんな私の気持ちを汲んで、真紗希が言ってくれた。


「でも、恋することで自分が変わってもいいんだって思ったの。沙由奈からそれを教えてもらった。それなのに、次は、美織ちゃんの存在が怖くて、傷つきたくなくて。ふざけてちょっかいかけてくる瀬戸くんの本心を知りたいのに、確かめる勇気もなくて…あげく好きなのをやめようって…。逃げたの。そして、好きな人を傷つけてしまったの・・・」


私のつたない言葉で3人にわかってもらえるかどうか…不安になった瞬間。



「あぁ。もう…1人でずっと悩んでたんだね、ごめんごめん」


沙由奈が私の頭を撫でた。


「苦しかったね、歩成ちゃん。気づいてあげられなくてごめん」


芽衣が抱きついてきた。


「歩成、晴翔のことが本当に好きなんだね…初めての片思いを経験したんだね」


片思い…これが片思いなんだ。


「私、恋なめてた!本当に心が壊れてしまうかと思った」


大泣きする私に、3人が笑いながら一緒に泣いてくれた。


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