青い春の真ん中で
「兄貴は2コ上で、今は県外の大学に通ってるんだけど。夏休みに帰ってくるからみんなでどこか遊びに行こうって美織が言ってて。その計画を最近ずっと立ててたんだよ」


なんだ…もう、早く言ってよぉ…

体の力が抜けた。


「大好きな人の話をしてたから…だから美織ちゃんいつもすごく楽しそうだったんだね」


恋してるようなあのキラキラ感は、そこからきてたのか。

納得だ。


「幼なじみでさ、俺たち。あ、健斗も。俺んち中学入る前に今の家に引越して、中学は離れちゃったけど。美織も本当はさびしいと思うけど、そういうの俺には見せないね。たぶん、兄貴には見せてんだと思うけど」


幼なじみだったんだ…


晴翔にとっては美織ちゃんも大切な存在だよね。


「そっかぁ…うん。ごめん、私。ちょっと嫉妬しちゃってた」


何も知らず、自分の気持ちでいっぱいだった私、恥ずかしいな…

うつむく私の顔を晴翔はのぞき込んだ。


「そうなの?そっか…でも、嬉しいかも」

晴翔のひと言で心が軽くなっていく。


「美織ちゃん、夏休みはお兄さんとたくさん一緒にいられるといいね…」


好きな人と離れ離れなんて、今の私には考えられない。


でも、晴翔と遠距離恋愛ってなっても、気持ち冷めたりしない。
そんなことで諦めることなんかできないよね。
きっと頑張っちゃうんだろうなって思う。

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