青い春の真ん中で
「二人ってそうなの?」

「え、ショックなんだけど」

「いつから?」


ざわめきだす教室の中。


「晴翔、いつも通りにしててよ」

小声で晴翔に告げるも、晴翔は聞き入れない。


これじゃ噂がすぐ広まるよ。


「朝、俺、歩成のこと紹介してよって違う組の奴に言われた。俺、彼氏なのに...」


「は?」


誰だよ...



「冷やかしだよ、そんなの」

ないないと、手を振ると、まじめな顔で晴翔は言う。


「歩成、自覚ないのかもしれないけど。最近、かわいいから」


「うん、ほんとに1回黙ろうか」


笑顔で言うと、


「目が笑ってない。こわい」


と怯えられた。


ここじゃ話せない。

小さくため息をついて、

「ちょっと来て」


周りに冷やかされながら退室して、屋上へ。


「あのね、晴翔は自覚ないのかもしれないけど。晴翔のこと好きな子結構いると思うのよ。また、誰かに海に突き落とされたらどうすんのよ!」


私は本気だ。


「歩成が最近かわいくなったって噂されてんだけど、なんで?」


なぜか怒る晴翔。


「そんなの知らないよっ!でも、もしもそんなことがあったとしたら、原因は晴翔だから」


きょとんとした顔。
子どもみたいな顔しないでよ。


「晴翔に恋してるから。しか理由が思い当たらない」


ってなに私もまじめにこんなこと言ってんだよ...


「そうなの?」

「そうなの!」


この前はあんな男らしかったのに。
どうなっちゃったの?
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