青い春の真ん中で
「私…その…彼氏とかいたことないから…よくわからないけど。元気出して…って私に言われてもって…感じだけど」

か細い声が響いている。


「ありがと…」

失恋したこと、初めて人に話した。

心がちょっと楽になった。

目が合ってちょっと笑う余裕なんかも出てきた。



「理由…とか聞いてもいい?あ、無理なら全然なんだけど」


暗くて顔が見えないから口数が多くなる。

「うん…でも、そのうちわかると思う…」


「そのうちわかる?」

どういう意味?


私の携帯電話が鳴った。


「私…もう行くね、ありがとう…」


そう言って暗闇の中に歩いて行った。


「もしもし…」


「大丈夫?なかなか帰ってこないから心配になるじゃない」


心配になると早口になるママの声。


「あ、ごめん。友達…に会って話してた」

「そうだったの。この辺りも田舎だからって油断してたら危ないわよ?」





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