青い春の真ん中で
「失恋で学校休むとか、超ウケる」

人の心の傷をえぐってくる、この女。


ムッとした私の表情を沙由奈は見逃さない。

「何?なんか文句あんの?」

顔が一気に険しくなる。


離れたところにいた浅中さんが駆け寄った。

「あ、私…今日、行くから。カラオケ、行く。いつものとこでいい?」


沙由奈の腕を引っ張って浅中さんが言った。


沙由奈が浅中さんの方を向いて、

「お、マジで?芽衣、今日ノリいいじゃん」


と、一気にご機嫌に。

浅中さん…もしかして庇ってくれたのかな。


でも大丈夫なのかな。


絶対、これ…イジメだよね。


自分のクラスでこんなことがあったなんて、知らなかった。


有輝の隣に私の居場所がなくなった今、私にはここが居場所…

この現実の中で生きていかなきゃいけない。


違う女…か。


上の空で1日が過ぎていく。


ああ…辛いな。

この心の痛みはいつになれば消えるんだろう。

記憶もないまま、最後の授業が終わりみんなが教室から一気に出て行く。

それぞれの場所に向かって…


行く場所もない私はその波に取り残されたように、一人教室にぽつんと座っていた。


こんな風に座っていても、もう、有輝が迎えに来てくれることもないんだ。

寂しさが込み上げてくる。


視界がぼやけていく…


涙、止まれ止まれ…


我慢しても涙は勝手に流れていく。


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