青い春の真ん中で
全速力で廊下を走る。

今朝つまづいた階段を2段飛ばしで降りていく。


靴箱へと続く廊下を走り、角を曲がると目の前に壁⁈


「きゃっ」


思い切りぶつかって後ろに倒れそうになった瞬間、腕をグッと捕まれた。


「おい、大丈夫かよ?」


デジャヴ?


顔を上げると、瀬戸くん。


「今朝はあんなグッタリしてたのに、勢いよく走って。どうしたの?」


クスクス笑いながら腕を掴んだ手を緩める。


今朝…と言えば、胸…!


思い出して恥ずかしくなってきた。


隣に目をやると、有輝…⁈

この2人、同じ中学で同じサッカー部だったっけ?


有輝は高校に入ってサッカー部に入らなかった。

女の子達によく騒がれてる瀬戸くんがサッカー部なのは私でも知っていた。



「あ、ご、ごめんね。私、急いでるから」


全速力でその場を立ち去る。


もう風を切って今ならすっごいタイム出そう。

そんな私は元陸上部。


靴箱で靴に履き替える浅中さんを見つけた。


「浅中さん…」


思わず叫んで、そのまま腕を掴んだ。


「行っちゃダメだよ。あの子達と、行っちゃダメ」


浅中さんの腕を掴んだまま、強引に私はまた走り出す。


「え?ええ?」


訳も分からず私に拉致された芽衣は息を切らしながらついてくる。










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