青い春の真ん中で
「沙由奈の方はクラス違うからいいとしても…木田さんだっけ?いつも一緒にいる子。同じクラスだよね」



授業が始まるギリギリまで屋上前の階段に座って待機している。



「うん。木田真紗希(まさき)っていうの。同じ中学だったから」

芽衣と同じ中学…

「そうなの?中学の頃からあんなだったの?」


私の質問に芽衣は首を振った。



「もっと…普通に優しい子だった。一緒に帰ったこともあるよ」



意外…


「高校デビュー?」

私の言葉に芽衣は首を傾ける。

「どうなのかなぁ、デビューというか…無理してるんじゃないかと思う時もある」


ますます意外…


「そうなの?めちゃくちゃ意地悪なのかと思ってたよ」


目をまん丸にする私の顔に我慢できず芽衣は吹き出した。


「ちょっと、人の顔見て笑わないでよ」


とか言うけど、芽衣の笑う顔好きなんだよね。


片方だけの八重歯と口の横にできる小さなえくぼ。



笑い終えて、ふと真顔になる。


「人って変わっちゃうのかなぁ」


芽衣の言葉に、私は有輝の顔が浮かんだ。


「変わっちゃう…のかもね」


小さく呟いた。



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