青い春の真ん中で
海水で濡れた制服が肌に張り付いて重い。
必死で防波堤をよじ登る。



「もう…本当に沙由奈!許さーん‼︎」


防波堤の上に這い上がって叫ぶ私を見て、芽衣がクスクス笑う。


「ぶっ…」


誰だ、笑ったのは…


振り返ると、


「何してんの?」


瀬戸くんが立っていた。

こういう時に笑うか普通…

女子2人が必死に海から這い上がってきたというのに。


「べーつに。海に入りたかっただけだし」


私はプイッと顔を背けた。


「なーんだ。助けが必要かと思って来たけど元気そうじゃん」


フワっと顔に何かかかる。


「え?」


手で掴むと、それはタオルだった。


「それ、まだ使ってないから。風邪ひくなよー」



そう言って瀬戸くんは歩いて行った。

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