青い春の真ん中で
「なんか…2人の雰囲気いいね。教室にいる時は全然感じなかったけど」


「良くないよ、全く」


タオルから瀬戸くんの匂いがした。


「第一、瀬戸くんはほとんど教室にいないし」


「そうだね。いつも廊下で男の子達いっぱい集まって話してるよね」


そうなのだ。

だから、男子の中では芽衣がいじめられてるとか知らない人もいると思う。


「あ、芽衣タオル…」


瀬戸くんのを渡そうとすると、


「大丈夫。私、持ってるから」


鞄からタオルが出てくる。


女子力高い。


ピンクのフワフワのタオル。


芽衣を見ながらさっきの沙由奈を思い出すと、ライオンと子ウサギにしか見えない。


仲良くなっても、芽衣はやっぱりいい子だし、裏表もない。


どうして、芽衣なんだろう。

そんな疑問が心の中で渦巻いた。

< 38 / 163 >

この作品をシェア

pagetop