青い春の真ん中で
「うん…ありがとう。芽衣に話してよかった」

心が軽くなった。


「明日から…もう逃げるのやめようか」

芽衣の顔を見た。

逃げ続けることが解決につながるはずがない。

そもそも、なぜ逃げなきゃならないのか…



「うちは親がすごく過保護で心配症で。だから、親に話せなかった。娘が同級生からイジメられてるなんて…親が知って傷つくの辛くて。心配かけたくなくて…」


大切に育てられてきたことを、芽衣自身もわかっている。だからこそ…言えなかった。


「だけど、いじめられてることを知る以上に悲しい思いをさせるところだった」


この世界から、芽衣がいなくなることが何よりも一番親は悲しむだろう。

気づかなかった、守れなかった自分を責め続けるだろう。


「1人でよく堪えたね」


芽衣が震えながら泣いている。


「芽衣、生きててくれてありがとう。芽衣がいたから、私、有輝のこと乗り越えられたよ」


「私…何もできてないよ…」


芽衣は首を振った。


「1人じゃ、乗り越えられなかった。それに、心配かけたくない家族に悲しい思いをさせずに済んで本当によかった」


芽衣のこと、本当に友達だと感じる今、私の素直な気持ちだ。


タオルに顔をうずめて泣きじゃくる芽衣の隣に座って背中をさすった。




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