青い春の真ん中で
教室に着くと、芽衣がまたにやにや笑っている。


「歩成ちゃんの話してるんだね」

「面白い奴ってね!」


そっけなく返す私に芽衣はいたずらっ子みたいな顔で顔を覗き込んできた。


芽衣の視線から逃げるように自分の席に足早に戻る私に、芽衣もついて来る。


「そういうのじゃないし。瀬戸くんみたいにモテる人はもっと可愛い子が好きなんだよ。私みたいなのは眼中にないよ」


きっぱり言い切った私に芽衣が言った。


「じゃあ、歩成ちゃんは?瀬戸くんのことどう思ってるの?」


え?

教科書を片付ける私の手が思わず止まった。


「いやいやいや。私別れたばかりだよ?しかも振られたばかりですぐ次とか...ないでしょ」


首を大きく振る。


「歩成ちゃん、そんなの関係ないと思う。別れたんだし次の恋したっていいんだよ?恋ってしようと思ってできるわけじゃない。きっと無意識に心が惹かれていくものじゃないかな。そういう相手がいることってすごく素敵なことだよ」


芽衣が無邪気に微笑む。


「いや...だから違うって。瀬戸くんみたいな人今まで関わったことないから。慣れないだけで」


大きく首を振った。





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