青い春の真ん中で
「芽衣、このままじゃ出られないね。着替え持ってくるから...」


教室に戻ろうとした私の手を芽衣が掴んだ。


「一人で待つのは怖い...」


芽衣の泣きはらした瞳。


「じゃあ非常階段使って教室の近くのトイレまで行こう」

非常階段で下に降りて1度外へ出て、教室がある棟の非常階段を使って教室近くのトイレまで戻った。


教室にある体操服をどうやって取ろうか...

先生に絶対呼び止められてしまう。


教室の前のドアからこっそり覗き込むと丁度瀬戸くんと目が合った。


ジェスチャーで体操服を伝える。


ああ!って感じのリアクションで私のカバンを取った。


こっち持ってきて!手で伝える。


「センセー、俺ちょっと腹痛い」


「大丈夫か?」

「保健室行ってきます」



瀬戸くんは器用に鞄をうまく机で隠しながら教室を出た。


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