青い春の真ん中で
「これでよかった?」


瀬戸くんナイス!


「ありがとう、ほんとに助かった」


「帰るの?」


瀬戸くんに詳しいことは話せない。



「帰らないよ。いろいろあって…ちょっとね」


言葉を濁す。

「ふうん。俺、屋上で寝てくる」

詮索するでもなく、あっさりそう言って階段を上って行った。


急いでトイレへ向かうと、トイレで待つ芽衣はひどく不安そうにしていた。


「ごめんね。これ体操服だけど...大きいかもしれないけど。あと、これタオル使って?」

鞄から出した体操服とタオルを芽衣に渡した。


「ありがとう、歩成ちゃん」


着替えを終えてタオルで髪を拭く芽衣の横顔を見ながら私は怒りに震えていた。


どうして…芽衣がこんな目に合わなくちゃいけないんだろう。

怒りはどんどん湧き上がって来る。


「屋上行こうか」


着替えた芽衣を連れて屋上へと上がっていく。


ドアを開けると瀬戸くんが日陰で昼寝していた。


一人でいるより、寝てても誰かいる方が安全だよね…


「芽衣。ここにいて」


「え?歩成ちゃん?」

呼びかける芽衣に、黙って頷いた。

不安そうな芽衣を残して私は階段を駆け下りた。
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