青い春の真ん中で
3組の前に着き、立ち止まった。

深呼吸をしたけど、怒りは抑えきれない。

教室へ入り辺りを見渡した。


沙由奈を探す…

ちょうど真ん中の席に座っている沙由奈と目が合った。

少し驚いた顔でこっちを見てる。


そのまま沙由奈の席へと歩いて行った。


「何よ…」

沙由奈が立ち上がった。


一瞬驚いたものの、小馬鹿にしたような表情になりニヤニヤしている。

「何か文句あるわけ?失恋女。イジメられっ子の次は失恋女?かわいそうな者同士、もしかしてぇ…友情芽生えちゃった?あははっ。ウケる」

手を叩いて笑ってる。


何笑ってんの?
あんなことしといて。

震える芽衣の小さな肩を、泣き腫らした目を、私を庇ってくれた時の芽衣を…

私は思い返していく。


沙由奈は本当に自分のしたこと何とも思ってないんだ…

ああ、もうなんか目眩がする。
感じたことのない苛立ちをもう抑えきれない。


大笑いする沙由奈と私の間の机を思い切り蹴飛ばした。

ガタンッ

大きな音を立てて机が転がった。


「かわいそうなのは、あんたでしょ?」


笑った口のまま顔がひきつっていく沙由奈。


沙由奈に近づき、胸ぐらを掴んだ。

芽衣と同じ場所のボタンがとんで転がった。


「あんたがこんな風に間違った方向へいってても、間違いを正してくれる友達、いないでしょ?間違えたままあんたを放置して見てるだけなのが友達なの?」


入り口に立つ真紗希を見た。

沙由奈は何も言わない。



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