青い春の真ん中で
「恋なんてね、うまくいかないことの方が多いんだよ。それを芽衣のこと逆恨みしてイジメて…だいたい、そんなあんたのどこを好きになれって言うの？恋で悩んでんのはあんただけじゃないんだよ！辛くて悔しい思いしてんのも、あんただけじゃないんだよ！」

沙由奈の顔が青ざめていく。


私の手を払いのけて立ち去ろうとした。

逃がさない。

沙由奈の腕を掴んだ。


「もしかして、芽衣をイジメて優越感に浸って勝ったつもりになってた？」


沙由奈はうつむいて表情を見せない。だけど耳が真っ赤だ。


「恥ずかしくないの？あんたがやってること、女としても人としても最低な事だよ。自分の価値下げて何か意味あんの？」


沙由奈は腕を振り払おうとするけど、私は絶対離さなかった。


「あんたに傷つけられても、芽衣の魅力は変わらない」


沙由奈の腕を掴む手に力を入れて、沙由奈に顔を近づけた。


「芽衣はブレないから。あんたみたいに弱くないんだよ。言っとくけど、芽衣はね、あんたに傷つけられるような弱い人間じゃないから」

沙由奈は震えている。

周りからの視線に堪え兼ねたのか、手の力を緩めるとそのまま沙由奈は走り去って行った。
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