青い春の真ん中で
「歩成ちゃん、ありがとう。私も歩成ちゃんみたいに強くなりたいなぁ」

屋上のコンクリートの上に座る私達に優しい風が吹く。


「芽衣は強いよ。今までずっと1人で戦ってきたでしょ?」


「戦ってなんか…」


芽衣は首を振った。


「沙由奈の悪口言わないし、心折れそうになっても立て直して引きずらないし」


芽衣は照れくさそうにうつむいた。

しばらく静かな時が流れた。


芽衣が急に顔を向けた。

「さっき…恋がどうとか言ってたけど。沙由奈ちゃんが私に何か怒ってるってこと?私、何かしたのかな?」


不安そうな顔。

そっか…芽衣はまだ知らないんだった。
自分がいじめられた原因を。


「沙由奈には好きな人がいたの。だけど、好きな人にもまた別に好きな人がいたの」

言葉を選びながらゆっくり話し始めた。



< 64 / 163 >

この作品をシェア

pagetop