青い春の真ん中で
「うん…」


芽衣には全く状況が飲み込めてない様子で、静かに頷いている。


「で、その『好きな人』が、芽衣だったんだよ…」


芽衣の顔を見ながら言うと、

「ええっ?」


芽衣の表情が驚きから徐々に困った顔へ変わっていく。


「もしかして心当たりある?」


芽衣は少し考え込んで頷いた。


「あの…沙由奈ちゃんの元カレの…」


ん?元カレ?

私が知ってる話じゃない…


「元カレの伊藤くん…に遊びに誘われたことがあって…」


え?そっちも?


「いや…あの…私が知ってるのは、その人じゃないんだけどね。うん…あはは」


もう笑うしかないな。


「え?違うの?」


頭を抱えて焦り出す芽衣。


「うん…まぁ。私も今知ったけど、芽衣のことを好きな男子に沙由奈は2回、失恋したってことだね」


まぁ、芽衣可愛いからなぁ。


長いまつ毛にたれ目な大きな瞳。
小さい鼻に可愛い口。

華奢で色白で…


「でも、芽衣のせいじゃないよ?」


落ち込む芽衣の背中をさする。


「でも…」


困ったような顔。


「これは沙由奈が自分で乗り越えなきゃならないことだよ」


沙由奈が正しい方へ歩いていければ、1番いいけど。



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