青い春の真ん中で
芽衣はどう思ってるんだろう。

芽衣は許せるのだろうか、真紗希を。


そっと隣の芽衣を見ると…
一緒に泣いてる。

「芽衣…」

顔を上げるとさっきよりもっと泣き腫らしたまぶたに真っ赤な鼻。



「ごめん、私…安心しちゃって。真紗希ちゃんの根っこの部分、変わってなくて良かったって…」


ハンカチも、もうビショビショ。


「真紗希、芽衣が一番最強だと思わない?」


人を許し受け止めること、それは強くないとできないこと。


私の言葉に真紗希は少し笑って頷いた。


真紗希はこんな顔で笑うんだ。
悔しいけどわりと美人な真紗希の笑顔は見惚れてしまいそうなぐらい綺麗だった。

「私も、芽衣も…真紗希をどうこうしようとかそういうのはなくて。ただ…やってしまったことは消えないから」


真紗希の顔が凍る。

芽衣が不安そうな瞳で振り向いた。

芽衣に笑いかけて、真紗希をまっすぐ見た。

「真紗希は、これまでの分も芽衣に優しくしてあげてよね。そして、その必殺技みたいな笑顔を毎日見せてよ…」


芽衣のホッとした顔。

真紗希の顔からは笑顔と涙が溢れている。

絡まった糸を少しずつ解いていくように心がほどけてゆく。
複雑に芽衣の周りに絡まり縛り付けていた糸がほどけ始める瞬間だった。
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