青い春の真ん中で
コツコツとパズルを続ける芽衣が、急に笑い出した。
「こういうのもありだね…」
「え?」
芽衣の手元に目を向けると、ひとつのピースを指差している。
「これが、歩成ちゃん。こっちが…」
ピースをひとつ持ち、指差したピースに繋げる。
「瀬戸くん。カップルの出来上がり」
芽衣が寝転がったままニヤニヤ笑う。
「ちょっと、芽衣…」
寝転がっている芽衣の脇腹をくすぐった。
「キャハハ、ごめんごめん」
芽衣が転がって逃げた。
「何してるの?」
いつの間にかドアが開いていて、そこに真紗希が立っていた。
「あ、やっと来た」
ボサボサの髪の毛の芽衣に真紗希は呆れたように笑う。
「ピアノのレッスン長引くし、歩成の書いた地図わかりにくいし!」
地図をテーブルに叩きつけられた。
地図をじっと見て、芽衣が私を見る。
「歩成ちゃん、これは酷いわ」
「そう?」
私の渾身の地図が否定されてしまった。
「ピアノ習ってるんだね」
真紗希はレッスンバッグを隅に置いた。
「うん…3歳の時からね」
よく見ると真紗希の手はとても綺麗だ。
清潔に短くした爪。
傷ひとつない長い指。
「迷ってたけど。音大受けようと思って、レッスン今までより増やしたんだよね」
「音大?」
縁がなさすぎる言葉にドキドキした。
「唯一、お姉ちゃんに勝てたものがピアノだった。うちのお姉ちゃんは妹の私が言うのもおかしいけど…美人で頭が良くて運動はできるし明るくて優しいし…なんだこいつ?っていうぐらい非の打ち所がないの」
芽衣がこの間言ってたお姉ちゃんの話だ。
「ずっと比べられて劣等感しかなかったんだよね。お姉ちゃんよりも出来るピアノに執着することが余計にお姉ちゃんを意識する自分を浮き立たせているみたいで…嫌だったんだけど」
真紗希の表情が柔らかくなった。
「私を責めて劣等感を感じさせていたのは自分自身だったことに気づいたの」
「どうしてそう思ったの?」
真紗希の話をもっと聞きたい、そう思った。
「こういうのもありだね…」
「え?」
芽衣の手元に目を向けると、ひとつのピースを指差している。
「これが、歩成ちゃん。こっちが…」
ピースをひとつ持ち、指差したピースに繋げる。
「瀬戸くん。カップルの出来上がり」
芽衣が寝転がったままニヤニヤ笑う。
「ちょっと、芽衣…」
寝転がっている芽衣の脇腹をくすぐった。
「キャハハ、ごめんごめん」
芽衣が転がって逃げた。
「何してるの?」
いつの間にかドアが開いていて、そこに真紗希が立っていた。
「あ、やっと来た」
ボサボサの髪の毛の芽衣に真紗希は呆れたように笑う。
「ピアノのレッスン長引くし、歩成の書いた地図わかりにくいし!」
地図をテーブルに叩きつけられた。
地図をじっと見て、芽衣が私を見る。
「歩成ちゃん、これは酷いわ」
「そう?」
私の渾身の地図が否定されてしまった。
「ピアノ習ってるんだね」
真紗希はレッスンバッグを隅に置いた。
「うん…3歳の時からね」
よく見ると真紗希の手はとても綺麗だ。
清潔に短くした爪。
傷ひとつない長い指。
「迷ってたけど。音大受けようと思って、レッスン今までより増やしたんだよね」
「音大?」
縁がなさすぎる言葉にドキドキした。
「唯一、お姉ちゃんに勝てたものがピアノだった。うちのお姉ちゃんは妹の私が言うのもおかしいけど…美人で頭が良くて運動はできるし明るくて優しいし…なんだこいつ?っていうぐらい非の打ち所がないの」
芽衣がこの間言ってたお姉ちゃんの話だ。
「ずっと比べられて劣等感しかなかったんだよね。お姉ちゃんよりも出来るピアノに執着することが余計にお姉ちゃんを意識する自分を浮き立たせているみたいで…嫌だったんだけど」
真紗希の表情が柔らかくなった。
「私を責めて劣等感を感じさせていたのは自分自身だったことに気づいたの」
「どうしてそう思ったの?」
真紗希の話をもっと聞きたい、そう思った。