青い春の真ん中で
「沙由奈ちゃん。あのね、私、努力してるから」


芽衣の言葉に沙由奈が顔を上げた。


そんな紗由奈の顔を芽衣はまっすぐ見つめる。


「これ、見て」


芽衣は鞄から1枚の写真を出し、紗由奈に渡した。


「え?」

写真を見た沙由奈の顔がかたまる。


私と真紗希も写真に近づいた。


そこにはふくよかな一家の写真があった。


「これが、私」

指差した先を見ると、小学5.6年生ぐらいのぽっちゃりした女の子が写っている。

言われてみると面影があるけど…


「今より20kgも太ってた。うちは太りやすい家系でだいたい大柄なんだけど、食べる量も多くて。食べるの本当は大好き。でも、可愛い服が着れなかったり、着ても自分の体型には似合わないとか…そういうことを思うようになって」


そういえば、この前、真紗希が買ってきたパンも1個しか食べなかった。


いつも、小さいお弁当箱で時間をかけて食べてる。


「私はいいなって思う服を綺麗に着たかった。似合う自分になりたかった。だから、食べることをそれまでより我慢することにしたの。みんなと同じ内容、同じ量でも私は太りやすいから。すごく気をつけてる。カラオケで炭酸何杯も飲んでポテト食べて…それでもその体型は変わらない沙由奈ちゃんにはない悩みでしょ?」


芽衣は堂々と、沙由奈を真っ直ぐ見ていた。
そのハキハキとした口調に芽衣の芯の強さを感じた。






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