青い春の真ん中で
「うん。パン大好き」


にこにこしながら答える瀬戸くんを見ながら、フッとため息をついた。


「さっきのうちの近所のパン屋さんのなんだ。今度、買ってきてあげるよ…」


話しながら机の中から教科書を出す。


「マジで?いいの?すげぇうまくてびっくりしたんだよ」


自分が美味しいと思うものを同じように感じてくれたことがこんなに嬉しいなんて…


胸キュンって本当にあるんだな。


私は、次の恋の入り口に片足をついに踏み入れてしまったようだ。


始まってしまったら、もう引き返せなくなる。

どうにか踏み止まろうとする気持ちもあるけれど、私の視線は気づけば瀬戸くんに吸い寄せられている。


授業は意外と真面目に聞いてるとか、頬杖をついてぼんやりする顔が可愛いとか…


ドキンドキンって、隣に座ってるだけでこんなになるの…私ちょっとヤバいかも。
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