初恋
「ごめんな、こんな所で……………」
「ううん、私達にはお似合いだよ」
どこまで、餓えてたのか
あのまま、俺達は屋上で抱き合った
誰に見られてもわからない場所で
青空の下で
でも、それは俺をひどく安心させた
残されたちっぽけな理性で、死角になる場所に移動出来たのは誉めたい
「高瀬…………すげぇ、好き」
「私も」
今まで女を抱いて安心したことなんて無かった
セックスが自分に与えるものなんて無かった
でも、
自分を巣食っていた
高瀬を好きだと言う強い想いも
嫉妬と言う黒い感情も
全て
消えていた
残るのは
ただの
'好き'
'愛しい'
「こんな、俺でごめんな
でも、もう離さないから
俺が…………最後だから
安心させてくれて、ありがとう」
恋なんてしたことなくて
女を性処理の道具にしか考えてなかった俺と
恋をするのに臆病になって、裏切られて
身体を売っていた高瀬との恋
お互いを求めながらも不安になって
そんな俺達が安心出来たのは
やっぱり、肌の触れあいだった
でも、それは
初めて感じる
甘い触れあい