初恋
二人の過去
「ごめん、言いたくなかったら………」
「中野くん、ありがとう」
「え?」
「聞こうと、してくれて…………
やっぱり、中野くん、優しいよ」
メガネの奥から高瀬の頬を弧を描いて落ちる涙は
今まで見たどんな涙よりも綺麗だった
「高瀬!話せよ!俺もお前に聞いてほしい」
「え?」
「俺の過去、話すから
聞いて同情でも良い、俺の傍にいて欲しい」
「…………中野くん、
わかった、私の話しも聞いてくれる?」
「うん」
俺達はそっと手を繋いだ
温かい気持ちになる
これから話す事はできれば話ししたくない
思い出したくもない
気持ち悪がられるかも知れない
翔馬と実咲しか知らない俺の過去
高瀬がぎゅっと俺の手を強く握った
'大丈夫'だってそう感じる