初恋
素顔
「賢人!彼女が出来たってほんと?」
「あぁ、まぁ」
急に俺の席に数人の女子がやってきて囲まれる
前には高瀬がいてるから、なんとなく曖昧な返事をしてしまう
ピンと真っ直ぐに伸びた背中を見ながら女子の話を聞く
「学校の子?」
「あぁ、うん」
「えー?誰よ!」
「でも、賢人、彼女できても相手してくれるんでしょ?」
「は?もう、女はいらねぇよ」
「えー?なんで?彼女だって知ってるんでしょ?」
「知ってるよ」
答えたの俺じゃない
高瀬が振り返りもせずに発した
くるっとこちらを向いて女子にはっきりと伝えた
「中野くんの彼女は私です」
それがなんだか嬉しくて
俺はニヤけた顔を隠すために机に突っ伏した