初恋







「き、きゃー!




ゆ、優菜ちゃん!可愛い!」








待ち合わせで高瀬に会うなり実咲は高瀬に抱き付いて離れない





そんな実咲にムッとしながらも、



制服ではない眼鏡でもおさげでもなく

私服姿のいつもと違う高瀬とどう接すれば分からなかったから少しだけ安堵する






「目立つなぁ」





「え?」






隣を歩く翔馬が小さく呟く






「あ、聞こえた?」






「あ、まぁ、目立つなぁってどう言う意味?」






「あの、二人」






翔馬の視線は俺達の前を歩く女二人





翔馬の言わんとする事が俺にはあまりわからなくて







「ほら、また、男が振り返った」






「え?」







俺も視線を二人に向ける






背の高い実咲と、対照的に背の低い高瀬





あ、






今、横を通った男二人がもう一度振り返っていた







「二人とも上玉!




声、かける?」






俺達の横を通りすぎる時に聞こえる会話





翔馬の言わんとする事がようやくわかった







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