初恋
「実咲!」
急に翔馬が大きな声を上げるから俺も驚いた
もちろん、呼ばれた実咲が一番驚いてて
「な、なに?」
「実咲はこっちだろ
高瀬はあっち」
翔馬が実咲の手を取って指を絡めた
実咲は一瞬抵抗するが頑なに離さない翔馬に抵抗をやめた
俺と高瀬は顔を見合わせて、逸らした
「こうするんだよ!」
見かねた翔馬は俺と高瀬の手を取って強引に繋がせた
「デートだろ?離すなよ?」
「あ、」
'離すなよ'
離したらどっかに行ってしまうかもしれない
さっきの男二人の会話を思い出した
「高瀬………このままでも良い?」
「…………うん、中野くんが嫌じゃなければ
私は…………嬉しい、よ?」
恥ずかしそうに俯きながら言う高瀬が可愛くて
繋いだ手に力を入れた