初恋











「ふふ、悪態!過去の事を聞かれてもないのに吐き捨てる様に言って




抱き締められちゃった




もしかしたら、実咲ちゃんは私に中野くんの姿を重ねたのかも知れない





それでも、温かくって優しくって大好きになっちゃった」






実咲ちゃんって凄いね、って笑う高瀬には悲しみはなくて





ほっとした






「うるさいだけだよ」





「自慢の幼馴染みでしょ?翔馬くんも、実咲ちゃんも!」




「しらね、」






誤魔化す俺を見て笑う高瀬がまた、可愛くて





意地悪したくなった





「って言うか、'翔馬くん'ってなに?」







「え?」





「俺は'中野くん'なのに…………」





「えっと…………」





少し拗ねる様に言うと困って、意地悪は成功





冗談、って言おうとしたら






本当に小さな声で







< 69 / 106 >

この作品をシェア

pagetop