初恋
「母親とか女子に呼ばれる度に自分の名前が汚く感じてた
でも、高瀬に初めて名前で呼ばれた時、
優しくて、初めて好きになれたんだ……………」
「賢人…………」
「よくよく考えたらさ、俺、あの人からは名前で呼ばれた記憶ないわ」
吐き捨てるように言った
あの人…………母親
母親なんかじゃない
俺の事は金儲けの道具
一緒に住んでても独り暮らしと変わらない生活
もう、どれくらい会ってないだろうか
会いたくも無いけど
「だから、高瀬なんだよ………賢人は」
「え?」
「高瀬に惚れたのにも何か理由があるんだよ
だから、とりあえずは高瀬を可愛がっとけ!」
「なっ////」
「真っ赤!ほんと、高瀬に会って賢人変わったわ」
変わった
確かに変わった
女遊びもなくなったし
真面目にもなった
恋も知った
翔馬の言う'変わった'はそれだけじゃないんだろうけど
「まぁ、良かったわ
昨日のデートは楽しかったんだな!」
「そうだな」
翔馬は嬉しそうに帰って行った
また、一人になると、高瀬の事を思い出したけど…………