初恋
「中野くん……………」
「わ、私だって、息子だなんて……………」
「お母さん、私にはもう両親は居ません
生きていたら、私の人生は変わってたかも知れません
生きていたら、中野…………賢人くんに会えなかったかも
生きていたら、もっと話がしたかった…………
お願いです!お母さんちゃんと言ってあげてください」
「…………何を?この子は私に何も求めてない!」
「求めてない子供なんていません!」
「あんたに!あんたに何が!」
「言ってください!賢人くんに!」
二人の掛け合いを俺はただ見つめていた
何を言っても無駄なのに
高瀬の必死な姿に
初めて見る、この人の取り乱した姿に
何かを期待している自分がいた
期待なんて…………
「この子は!私になんて!」
「この子じゃありません!賢人くん、'賢人'です!」
「私は…………私は……………」
「私がもらいますよ?」