コンプレックス




「やっぱり、なんかあったんでしょ。正直に言いなさい」



 何だか尋問されている気分。
 じとりと見られれば、諦めるしかないなと思う。茜には見破られてしまっているのだろう。



「好きだって、いわれた」
「やっぱり」
「…やっぱり?」
「そりゃそーでしょ。映画誘うって。学校祭のときもあれ、真希に会いに来たんじゃないかなって思ったくらいだし」
「なにそれ初耳!」
「言ってないもーん」



 ああこのやろう。
 ―――が、会いに来たんじゃないか、だなんて。


 中学生のとき、そんなに親しくなかったはずだが…。
 何が、好きなのだろうか。まあ、私が、なんだろうけど。自分の何が、彼をそんな風にさせたのかわからないのだ。


 だって。


 茜と別れたあと、「あ」という声が漏れた。向こうも向こうで、同じく「あ」というような顔をしていた。
 それもそうだろう。


 私は、告白された側。
 向こうは、告白した側。

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