コンプレックス
「まあ、いきなりで困るのはわかるけど。その、嫌いじゃ、ないよな?」
「……うん」
「そっか、うん。ならまあいいか、いや、うん」
「あのさ、俊輔」
「なんだ?」
「私のどこがいいの?」
「全部」
速答!
驚いたのを通り越して、悶えたくなった。だって!全部!全部って!
馬鹿じゃないの!
「私、小顔じゃないよ」
「小顔?」
わからない、という顔をした俊輔は、中学生の時と同じような感じだった。
「それから、まな板だし」
「まな板…」
「そうよ!まな板!顔も大きいし、まな板だって言われるし、あとは考え方が古いとか――――嫌いなところばっかだから」
悪口なんて、腐るほどあるだろう。
いちいち傷ついてちゃいられない、だなんてポジティブにいられないのが、私。
ずるずる引きずって、こんちきしょう!お前だってペチャパイで寄せてるくせに!とか心の中で叫んで。